チャットボットの失敗要因と注意点を事例を交えて解説

2021.01.09

チャットボットの導入には、問い合わせの対応にかかる時間や手間を削減できるなどのメリットがあります。

しかしその一方で、導入後にうまく活用できなかった、そもそも導入に至れなかった、という失敗事例も少なくありません。

そこで、チャットボット導入の失敗事例とその要因、導入のポイントについて紹介します。

チャットボット導入の失敗事例

チャットボット導入を成功させるためには、成功事例だけではなく失敗事例を知っておきましょう。そこでまずは、チャットボット導入に失敗した事例とその要因を6つ紹介します。

導入前から導入後の運用に至るまでに発生した失敗の代表的な要因を理解し、チャットボット導入の参考にしましょう。

チャットボット失敗事例1|リリースに至らなかった

まずは、そもそもリリースに至ることができなかった、という事例です。

リリースできなかった理由は、現場と経営者層との間にあったチャットボットに対する認識のズレです。

チャットボット構築時にはまず、想定質問とそれに対する回答を登録します。現場はチャットボットに最初に登録する情報は「よくある質問」のような、限定的なもので良いと考える傾向があります。

一方で、経営者層は「自動化するのだから」と多くの情報を登録し、広い範囲で自動応答させたいと考えてしまいます。

リリースに向けては、この認識のズレをすり合わせていくことが必要です。

チャットボットに登録する情報量は多ければ多いほど良いとは限りません。むしろ、登録した情報が多いほど回答の精度が下がってしまうこともあります。

経営者層に理解を求め、チャットボットへ最初に登録する情報はきちんと取捨選択しましょう。そして運用をしながら繰り返しメンテナンスを行い、徐々に情報量を増やしていくのがおすすめです。

チャットボット失敗事例2|電話の問い合わせが減らない

続いて紹介するのは、ユーザーのチャットボット利用率が上がらず、電話による問い合わせが減らなかった事例です。

電話による問い合わせが減らなかった理由は大きく2つ考えられます。ひとつは、チャットボットのメンテナンスが不十分であったこと、もうひとつはユーザー層がチャットボットになじまなかったことです。

チャットボットは、導入後のメンテナンスも重要です。データを見直して、登録している情報量や内容をアップデートを続ける必要があります。

改善を怠っていると、ユーザーはチャットボットの対応にストレスを感じ、利用自体を止めてしまいます。

また、チャットボットの利用者は、スマートフォンやパソコンの操作に慣れた若年層が多い傾向があります。

その一方で、高齢者層は問い合わせに電話を利用する傾向があります。主なユーザーが高齢者層であるならば、チャットボットの利用率を上げるための工夫が必要になります。

導入前に自社サイトを利用する年齢層を調べ、導入を検討しましょう。

チャットボット失敗事例3|回答精度が低い

チャットボットの回答精度が低いことも、失敗の理由のひとつです。

ユーザーはチャットボットにスムーズで的確な受け答えを求めています。しかし、回答精度が低いと、期待が満たされず、ストレスを感じてしまいます。当然、利用率も上がらず、導入効果も上がりません。

チャットボットに登録した情報量が少ないと、精度の低下につながります。同時に、情報量が多すぎても適切な回答を導くことができなくなり、精度が下がります。

チャットボットを活用する用途を絞り、その用途に応じた情報を登録すると良いでしょう。

また、導入前にはテストを繰り返して回答精度を確認することも重要です。回答精度が低い場合は、登録している情報量を見直し、精度の高い情報を出せるように調整します。

運用開始後も定期的にメンテナンスを行い、情報の質と量を見直しましょう。

チャットボットが回答できない質問が来た場合も想定し、何かあった場合は速やかに有人オペレーターへ切り替える仕組みを作っておく方法もあります。

チャットボット失敗事例4|PVや問い合わせの量

そもそもサイトがあまり知られていない、PV(ページビュー)が少ない、もともとサイト経由の問い合わせが少なかった、などの理由で導入が失敗した事例もあります。

導入前には、サイトのPVやサイト経由での問い合わせがどれだけあるかを確認しておきましょう。パンフレットなどにサイトURLやQRコードを載せるなどして、まずはサイトにアクセスしてもらう必要があります。

問い合わせ用の電話回線に自動音声応答システム(IVR)を流す方法もあります。IVRにて、24時間自動チャットで問い合わせに対応していることを案内しましょう。

同時に、ユーザーがチャットボットの存在に気づきやすい位置に設置することも必要です。チャットウィンドウがユーザーが見つけやすい場所に表示されているか、大きさは適切か、などをチェックしましょう。

サイトにアクセスしたらすぐにチャットボットを見つけ、利用できるように、サイトの導線・仕組みを作るといいでしょう。

チャットボット失敗事例5|運用担当者の不在

チャットボットを導入したものの、運用担当者が社内にいなかったため思うように活用ができずに失敗してしまった事例です。

チャットボットを運用するには、情報のメンテナンスが必要です。定期的にチャットボットに寄せられた質問とその回答内容をチェックして、より適切な回答ができるようにしていかなければいけません。

また、得られたデータを基にチャットボットの利用率を上げるにはどうすればよいかを分析する必要もあります。

チャットボットのシステムそのものの保守は、サービス提供会社に任せることもできるでしょう。しかし、こういった運用に関するメンテナンスは、自社に担当者を置く必要があります。

担当者不在のまま運用を始めてしまうと、せっかく設置したチャットボットの情報の更新が行われなくなり、回答の精度が下がり、そして利用率も下がるという悪循環が発生しかねません。

運用担当者を決めて、チャットボットを活用していきましょう。

チャットボット失敗事例6|投資対効果が低い

チャットボットの投資対効果が低いと判断され失敗した事例もあります。

投資対効果が低い理由は複数考えられます。たとえば、事例2や4で挙げたような、ユーザー層とチャットボットの相性もあるでしょう。

また、そもそもサイト利用者が少ないという原因も考えられます。投資対効果を上げたいときは、企画の時点で「そもそもユーザーに利用してもらえるのか」を考えましょう。

チャットボットの導入がゴールになってしまうこともまた、投資対効果が得られない理由になります。

チャットボットの効果は、対応件数などの数値データと社員に対するヒアリングである程度明確にすることができます。定期的にデータを取り、社員にヒアリングするといいでしょう。

たとえば「問い合わせ件数全体に占めるチャットボット対応の割合はこれだけ増えた。

人的対応の割合が減った結果、カスタマーセンターのオペレーターも余裕を持って対応できるようになったと感じている」などの分析結果を示すことができれば、投資対効果が分かりやすくなります。

チャットボット導入成功のためのポイント

続いて、チャットボット導入を成功させるための5つのポイントを紹介します。失敗事例で紹介した要因と合わせて参考にしてください。

チャットボット導入成功のためのポイント1|導入目的の明確化

チャットボット導入を成功させるための最初のポイントはまず、「なぜチャットボットを導入するのか?」という目的を明確にすることです。

失敗事例1で紹介した「リリースに至らなかった」事例、6で紹介した「費用対効果が低い」事例の大きな原因に「導入目的を明確にできなかったこと」が挙げられます。

こういった失敗を避けるためには、何のためにチャットボットを導入するのか、どういう効果が得られれば成功かを明確にし、現場と経営層との認識を共通化しておくことが不可欠です。

チャットボットを活用するためには、考慮しておくべき点がたくさんあります。どんなチャットボットを導入するのか、どんな情報を登録するのか。投資対効果が出ていない場合はどこをどう改善すれば良いのか。

チャットボットの導入目的を明確にしておくと、こういったことを考える際の指針となります。なによりもまずは、導入目的を明確にしましょう。

チャットボット導入成功のためのポイント2|対話能力を上げる

対話能力を向上させスムーズに対話できるようにすることも、チャットボット導入を成功に導くポイントです。チャットボットの対話能力が低いと、ユーザーはストレスを感じ利用を避けてしまいます。

対話力向上のために重要なことは、どこまでチャットボットが対応し、どこから先をオペレーターが対応するか、範囲を設定することです。

その範囲の中で、チャットボットとどのような対話をユーザーが求めているのか、対話をどのようなゴールに導くかを考え、設定しましょう。

スムーズな会話を実現するため、に必要な方法の一例を以下に紹介します。

  • 適切な情報を登録し、回答の精度を上げる
  • ユーザーが答えやすいように、選択肢を用意する
  • チャットボットで対応しきれないときはスムーズに担当者や問い合わせフォームに切り替えるように設定する
  • 資料請求ボタンや申し込みボタンなどを最後に表示し、ユーザーが対話の次のアクションを起こしやすいようにする

チャットボット導入成功のためのポイント3|機能や用途の範囲を明確化

チャットボットの役割をきちんと決めておくことも重要なポイントです。

チャットボットには、ユーザーとの会話内容を自動で学習し回答精度を高めていくAI型と呼ばれるものがあります。こういったチャットボットは、一見非常に頼もしい存在のように思えるかもしれません。

しかし、チャットボットは万能ではありません。たとえば問い合わせ対応も商品のレコメンドもさせたいと考え、複数の役割を任せると、対話データの分析や情報の学習に多大な時間とコストがかかります。

多くの企業は、チャットボットにかけられる予算と時間は限られています。その中でいかに効果的に運用していくかを考えなければいけません。用途を広げると、必要な機能も増え、予算も時間も取られます。

「簡単なFAQはチャットボットで、複雑な問い合わせはオペレーターの対応で」というように、チャットボットの役目や用途の範囲を決め、必要な機能をはっきりさせておきましょう。

チャットボット導入成功のためのポイント4|スケジューリング

チャットボットのリリースに至るまでのスケジューリングには余裕をもたせ、必要な日程をしっかり確保しましょう。

チャットボットのリリースに至るまでには、大まかに以下のようなステップが必要です。

1.チャットボット導入目的の明確化
2.目的に合ったチャットボットサービスを比較検討
3.チャットボット選定
4.社内の担当者に対話に必要な情報をヒアリング
5.ヒアリングを基にチャットのシナリオ構築・情報登録
6.チャットボット運用の環境構築
7.テスト運用
8.テスト運用の結果を基にシナリオや環境をブラッシュアップ
9.運用開始

この9つのステップは、同時進行する場合もあれば何回か戻って繰り返すケースもあります。特にテスト運用とブラッシュアップは、本格的な運用前に複数回繰り返すことも多いです。

十分な準備を整えた上でリリースを迎えることができるよう、無理のない導入のスケジュールを立てましょう。

チャットボット導入成功のためのポイント5|担当者の設置

担当者は必ず設置しましょう。失敗事例5で見たように、担当者の不在はチャットボット導入失敗の原因のひとつです。

定期的にチャットボットの情報のメンテナンス、チャットボットの利用率の分析、改善案の提案を行えるような体制を整えましょう。

チャットボットの運用やメンテナンス、データの分析ができる知識やスキルがある人材が社内にいない、という企業もあります。

担当者の育成を導入と並行して行わなければいけないこともあるかもしれません。また、そもそも人手不足で担当者を置ける余裕がないケースもあるでしょう。

こういった場合は、チャットボットの運用に関するサポートもしてくれるサービスを選ぶのも解決策のひとつです。

担当者を置く、運用サポート付きのチャットボットサービスを選ぶなどの対策はコストがかかります。チャットボット導入成功のためにはある程度コストがかかることを理解し、効果的に運用していきましょう。

チャットボット導入を成功させるためにうまく活用しましょう

チャットボットの失敗事例を6つ、成功のポイントを5つ紹介しました。チャットボットを導入し、効果的に運用していくためには、失敗の要因や成功のポイントを知ることは欠かせません。

導入目的・範囲を明確にした上で適切な情報を登録し、ユーザーが利用しやすい環境を整え、運用後のデータ分析やメンテナンスも忘れないことが重要です。

今回紹介した事例やポイントを参考に、適切なチャットボットを導入し、活用していきましょう。

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