
チャットボットの導入を検討するとき「どんなふうに活用すると効果的なのか」、「簡単に導入できるのか」といった疑問はありませんか?
この記事では、チャットボットがどのように使われているか事例を交えて紹介し、導入に際してチェックしておきたい重要なポイントについて解説いたします。
チャットボット導入の現状
チャットボットというと、ECサイトやインターネット関連のビジネスで利用されるものというイメージが強いかもしれません。しかし実際は、ありとあらゆる業界で導入されています。
チャットボットを導入するメリット
チャットボットを導入すると、「売上アップ」や「業務効率アップ」、「スタッフの負担軽減」といったメリットがあります。詳しい内容はこちらの記事でご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
参考:チャットボットのメリットとは?導入の際の効果や注意点も解説
チャットボット導入成功事例10選
実際にチャットボットを導入し、活用している企業を業界別にご紹介します。
業界別チャットボット導入事例1|D2C業界
まずは自社サイトで商品を販売する「D2C業界」の事例を見てみましょう。株式会社レッドビジョンでは、自社で運営する女性向けECサイトのカート内での離脱率が高いという悩みを抱えていました。
そこでチャットボットを導入し、チャット内で決済まで完結できるようにしたところ、CVRが約200%改善。
購入から決済にいたるまでの手順を面倒だと感じさせない方法として、メッセージアプリのようなインターフェースでやりとりできるチャットボットが有効だと分かります。
業界別チャットボット導入事例2|不動産業界
こちらは「不動産業界」の事例です。鉄道事業をはじめ、地域に根ざした幅広いサービスを提供する遠州鉄道株式会社では、土地や一戸建て住宅を取り扱う「遠鉄ホーム」のWebサイトでチャットボットを導入しました。
設置後すぐには効果が出なかったものの、検証を重ねるなかでCVを「資料請求」のみに限定し、欲しい資料を選択してもらうシナリオを採用。その結果、資料請求数が2倍になるという成果につながりました。
さらに「チャットボット内に画像を配置して視覚的にアピールする」「入力完了時間の目安を表示する」など、ユーザーの心理的ハードルを下げる工夫もプラスに働いています。
業界別チャットボット導入事例3|教育業界
「教育業界」での導入事例です。オンライン英会話レッスンを提供する「ビズメイツ」では、無料会員を増やすための効果的な施策を考えていました。
まずは無料会員登録を行う、通常の入力フォームの最適化を行ったものの、離脱率はなかなか改善せず、さらなる対策として導入したのがチャットボットです。
その結果、導入前月と比較して全体のCVRが117%、スマートフォンからのCVRが133%改善しました。サービスの仕組みをチャット形式でシンプルに伝えることでユーザーの理解を得ることができ、成果につながった事例です。
業界別チャットボット導入事例4|金融業界
「金融業界」でもチャットボットは活躍しています。法人向けに給与前払いサービスを提供する「Payme」では、トップページやランディングページにチャットボットを設置し、導入前の問い合わせや導入後のフォローに活用しています。
Paymeのチャットボットで評価すべきなのは、シンプルかつ分かりやすく、フレンドリーなコミュニケーションが可能な点です。
金融サービスには堅いイメージがつきものですが、ソフトな語り口で対応するチャットボットによって、問い合わせへのハードルを下げる効果が期待できます。
業界別チャットボット導入事例5|通販業界
「通販業界」での導入事例です。事務用品などの通販を手がけるアスクル株式会社では、法人向けサービス「ASKUL(アスクル)」と個人向けサービス「LOHACO(ロハコ)」のWebサイトにそれぞれチャットボットを設置しています。
法人向けには「見積書・領収書・請求書などの発行」や「商品の郵送」、個人向けには「注文方法」や「支払い方法」といったニーズに合わせたメニューが用意されているほか、文章での質問も可能です。
「支払い方法」や「送料が無料になる条件」といった簡単な質問なら、FAQページに飛ぶことなく、すぐに案内してもらえます。チャットボット導入により、大幅な省人化に成功した好例です。
業界別チャットボット導入事例6|SaaS業界
「SaaS業界」での導入事例です。クラウド請求管理サービスの「INVOY(インボイ)」では、ユーザーに対するサポートをチャットボットで行っています。
FAQページがあまり活用されない状態を改善するために問い合わせ対応型のチャットボットを設置したところ、サポート担当者への問い合わせ数が減少するという良い結果につながりました。
チャットボットがユーザーの疑問に24時間体制で回答することで、問題解決への時間短縮とユーザーのストレス軽減を実現した好例だと言えるでしょう。
業界別チャットボット導入事例7|アパレル業界
「アパレル業界」の例です。アパレル大手のユニクロでは、ショッピングをサポートするアシスタントAI「UNIQLO IQ」を導入しました。
このチャットボットは、ユーザーが「デート「スポーツ」などのシーンを入力すると、その場に適したアイテムやコーディネートを提案する機能を備えています。
ユーザーはお気に入りアイテムを使ったコーディネートをチェックしたり、近隣の店舗を確認をしたりすることも可能です。
業界別チャットボット導入事例8|サブスクリプション業界
ビジネスモデルのひとつとして定着した「サブスクリプション業界」の例です。コーヒーを定期便で届ける「COTTEA」では、問い合わせ窓口としてチャットボットを設置。
キャンセルや再注文といった手続きのほか、サービスの案内役としても機能し、問い合わせに関する業務を自動化しています。
コーヒーというアナログな商品と、会話形式でフレンドリーにやりとりをするチャットボットは親和性が高く、相乗効果を生んでいると言えるでしょう。その証拠にCVR、リピート率、売上の全項目で成長を続けています。
業界別チャットボット導入事例9|保険業界
「保険業界」の例です。SBI損保ではニーズの高い自動車保険の案内ページにチャットボットを設置しました。
有人対応と無人対応を組み合わせ、時間帯や曜日、回線状況などによって有人対応と無人対応を使い分けています。無人対応の場合は、問い合わせ内容に該当するFAQページを、チャットにて誘導。
自身で目的のFAQページにたどり着くことが難しいユーザーや、最短で目的の回答ページに飛びたいユーザーをサポートするには、ガイド役としてトップページにチャットボットを設置するのが非常に効果的です。
問い合わせ対応業務を一部自動化し、オペレータの負担を軽減しつつユーザーの満足度を向上させる施策として、ぜひ参考にすべき事例です。
業界別チャットボット導入事例10|人材業界
「人材業界」での導入事例です。夢真ホールディングスでは、建設業界に特化した求人サイト「俺の夢」でチャットボットを導入。
求人サイトのエントリーフォームは、個人情報や職歴、希望年収など入力項目が多く、どうしても離脱者が多くなりがちですが、チャットボットからもエントリーできるようにしたことで前年比131%のCVを達成しました。
無機質ななフォームではなく、ロボットとの会話による一問一答形式にすることで心理的なハードルが下がり、それがプラスに働いたと言えるでしょう。
チャットボット導入のポイント
チャットボットは今や幅広い業界で活用されています。チャットボットを導入する前に、あらかじめ確認しておきたい大切なポイントについて解説します。
チャットボット導入のポイント1|目的の明確化
導入前にまず「チャットボットを導入する目的」を明確にしておきましょう。チャットボットはさまざまな使い方ができますが、目的を持たせすぎるとシンプルさや分かりやすさというメリットが失われかねません。
何よりも「問い合わせ対応を自動化したい」「売上をアップさせたい」といったゴールをしっかりと見定めることが重要です。
目的がはっきりすればチャットボットが担う業務が明確になり、そこからどんなタイプのチャットボットを導入すべきかが見えてきます。
チャットボット導入のポイント2|ツールの選定
チャットボットのプログラムには、人工知能を備えたものや決まったシナリオに沿ってユーザーをガイドするものなど、様々なタイプがあります。
目的達成のためにはどのタイプが適しているのか、どんなツールがあると便利なのかを検討しましょう。
その他にはレポーティング機能の有無やカスタマイズ性、セキュリティ、導入後に受けられるサポートといった項目も選定基準となります。
チャットボット導入のポイント3|シナリオの設定
チャットボットのシナリオは、ユーザーの選択によって分岐をさせつつゴールへと導くものです。
きちんとゴールへ案内するにはユーザーを迷わせないことがポイントとなるため、選択肢はできるだけシンプルに表記し、できれば数は5つ以下に絞り込みましょう。
さらにシナリオのスタート地点であるユーザーの「疑問」「悩み」「要望」を正確に捉えることも重要です。
例えば申し込み方法を知りたくてチャットボットを開いたのに、「申し込み方法を知りたい」という項目が選択肢になければ、閉じるしかありません。
チャットボットを使って問い合わせ業務を自動化したいのなら、導入前にどのような問い合わせが多いのかをリサーチしておきましょう。
チャットボット導入のポイント4|チャットボットの導入は手間がかかる
チャットボットは活用していく中で徐々に使い勝手を向上させていくツールです。ユーザーの質問に回答させるなら、事前に質問に対する答えをインプットさせる必要があります。
導入すれば業務の自動化に役立つことは間違いありませんが、実用に至るまでにはある程度の手間がかかることを認識しておきましょう。
チャットボットの導入、気になる費用
チャットボットを導入する際に気になるのが費用、つまりコストです。プログラムの一種である以上、性能や搭載機能によって差が出るのは当然のこと。ここでは費用について解説します。
チャットボット導入の費用1|契約費(初期費用・導入費)
チャットボットを開発・提供している企業と契約するときにかかる費用です。初期費用は無料の場合もあれば、100万円程度かかる場合もあります。
ただし初期費用が安い分、月額費用が高い企業もあれば、初期費用が高く月額費用はリーズナブルという企業もあり、初期費用だけでコストを判断することはできません。
チャットボットは長期間の運用が前提となるツールですので、月額費用などを含めたトータルコストで判断しましょう。
チャットボット導入の費用2|シナリオ作成費
シナリオ作成は、導入時にもっとも時間と手間がかかる部分です。自社で作成する場合はコストを大幅に削減できますが、外注する場合は費用が発生します。
費用面を考慮すると「社内製作すればいい」となりがちですが、知識や経験のない人がゼロからシナリオを作るのには、相当な困難が伴います。
ゴールにたどり着けずシナリオがループしてしまったり、分岐が途切れてしまったりすれば、ユーザーのストレスとなり悪印象を与えかねません。
最初からすべて自社でまかなうのは難しいことを念頭に置き、場合によってはシナリオを作れる人材を育てることも検討しておきましょう。
チャットボット導入の費用3|カスタマイズ・デザイン費
オプション機能を追加してカスタマイズしたり、デザインを変更したりするとその分費用がかかってきます。
つまり基本機能のみを使ってデフォルトのデザインで運用すればコストは抑えられますが、それで十分かどうかはしっかりと精査しなくてはなりません。
カスタマイズやデザイン変更によって、コスト以上のメリットが得られる場合もあるからです。
費用をかけるメリットがあるかどうかを知るためにも、目標達成のために必要な機能やデザインがどんなものかをあらかじめ調査しておきましょう。
チャットボット導入の費用4|運用費
運用費とは導入後のランニングコストを指します。月額費用はチャットボット経由のCV数や利用頻度、対応ユーザー数で決めている企業が多く、使った分だけ支払うのが一般的です。
月額費用のほか、社内でチャットボットの担当者を選任した際は人件費などもかかってきます。
チャットボットに関するコンサルティングは、有料で行う企業もあれば月額費用に含まれている企業もあり、一概には言えません。
運用に不安がある場合、追加費用なしでコンサルティングやアフターフォローをしてくれるベンダーを選ぶことをお勧めします。
具体的なチャットボット導入費用は低価格帯~高価格帯まで
チャットボットは、10万円ほどで導入できる低価格のものから100万円程度かかるものまで存在し、幅広い価格帯となっています。
高額なサービスには人工知能を搭載しているものが多く、ユーザーの入力したテキストに対して、より高度な対応が可能です。
ただ導入目的によっては高性能なチャットボットが必要ない場合もあり、価格の高いものが最良・最適というわけではありません。
価格も重要ですが、もっとも重視すべきは「必要な機能を備えているかどうか」です。
成功事例や価格帯を理解しチャットボットを導入しましょう
チャットボットの導入には費用や手間がかかりますが、正しく使いこなせば業績アップやコスト削減に大きく貢献します。
ここでご紹介した活用事例を参考にしつつ、自社でどのように生かすことができるかを検討してみてください。