
スマートフォンユーザーとLINEは親和性が高く、プライベートはもちろん、ビジネスシーンでも活躍しています。
2020年10月時点で8,600万人という圧倒的な利用者数の多さも、スマートフォンユーザーとLINEの親和性の高さを裏付けていると言えるでしょう。
昨今、顧客との新たな接点としてLINEチャットボットに注目が集まっています。
この記事では、チャットボットとLINEを掛け合わせたマーケティング施策について、事例を交えてご紹介します。
LINEチャットボットとは?
チャットボットは、チャットとロボットを組み合わせた言葉です。チャット上でのユーザーの問い掛けに自動で返信するプログラムを指します。
LINEチャットボットは2016年にLINEが「Messaging API」を一般向けに公開して以来、外部の開発者やベンダーによる開発が進みました。
チャットボットならユーザーからの問い掛けにすぐさま反応できるため、多くの企業がLINEチャットボットを導入して業務の効率化を図っています。
LINE公式アカウントで設定できるLINEチャットボットは以下の3種類です。
・応答メッセージ
・AI応答メッセージ
・MessagingAPIを利用したチャットボット
ここからは、それぞれの機能について詳しく紹介します。
LINEチャットボットの機能1|応答メッセージ
応答メッセージは、特定のキーワードに反応するシンプルなチャットボットです。
LINE公式アカウントの標準機能を利用しており、特定のキーワードが入力されると、事前に設定したメッセージを自動返信します。
設定は簡単ですが、ユーザーにキーワードを入力してもらう必要があるため、活用の範囲も限定的です。
「キャンペーン」や「クーポン」をキーワードとして設定すれば、効率良く案内ができるでしょう。
LINEチャットボットの機能2|AI応答メッセージ
AI応答メッセージもLINE公式アカウントの標準機能です。ユーザーからのメッセージに合わせて適切なメッセージを自動返信してくれるため、応答メッセージよりも複雑な会話ができます。
返信メッセージは、カテゴリごとにテンプレートを登録しておきます。
カテゴリは以下の4つです。
・一般的な質問
・基本情報
・業種別テンプレート
・予約情報
カテゴリーごとにクレームやお問い合わせ、キャンセルなどのよくある質問が設定されています。設定された質問タイプに、返信するメッセージの内容を登録しておきましょう。
LINEチャットボットの機能3|MessagingAPIを利用したチャットボット
MessagingAPIを利用したチャットボットは、LINE公式アカウントの標準機能ではありません。
自社やベンダーがMessagingAPIを使って開発したチャットボットを、LINE公式アカウントに連携させて使います。
応答メッセージやAI応答メッセージは基本的にメッセージのやり取りです。
MessagingAPIを利用したチャットボットなら、画像を使ったり動画や音声を送ったりといった、自由な使い方が可能です。
チャットボットをLINEで使うメリット
続いては、チャットボットをLINEで使うメリットについてお伝えします。
チャットボットを導入すれば、ユーザーからのメッセージに対して24時間対応できます。チャットボットの大きなメリットの一つと言えるでしょう。
もちろん、LINEでチャットボットを利用するメリットはそれだけではありません。チャットボットとLINEの親和性の高さを生かした、LINEチャットボットならではのメリットを5点紹介します。
チャットボットをLINEで使うメリット1|LINEとの親和性の高さ
チャットボットとLINEとの親和性の高さは、それだけで大きなメリットです。
LINEはチャット形式でやり取りするメッセージアプリなので、日常的にLINEを使うユーザーはチャットでのやり取りに慣れています。
そのため、問い合わせに対する心理的なハードルも低く、ユーザーからのアクションも容易に引き出せます。
使い慣れたスマートフォンとLINEが、自然な流れでユーザーの行動を誘導できるでしょう。また、メールや電話よりも気軽に問い合わせができるため、問い合わせ量の増加も見込めます。
チャットボットをLINEで使うメリット2|新たなリーチの獲得
冒頭にてお伝えしたとおり、LINEの利用者は8,600万人です。これは月間のアクティブユーザー数なので、それだけの人数が日常的にLINEを使っているということです。
8,600万人は日本の人口の68%以上で、そのうちの85%はLINEを毎日使用しています。
それだけ生活に浸透したLINEであれば、ECサイトやLPとは違う新たな層にアプローチできます。普段はECサイトやLPにアクセスしていない層の目にも触れやすいでしょう。
LINEであれば、家族や友人との会話のために起動する回数が多いため、それだけLINE公式アカウントを見てもらえるチャンスもあります。
チャットボットをLINEで使うメリット3|ユーザーとの距離が縮まる
LINEが日常的なツールであることは、ユーザーとの距離を縮められるというメリットにもつながります。
LINEはSNSアプリの一種ですが、1対1やグループでメッセージをやり取りするメッセージアプリとして使う人が多数です。
ユーザーはクローズドな環境でのやり取りに慣れており、LINE公式アカウントでも自然と距離が近くなります。
家族や友人とメッセージをやり取りする感覚でコミュニケーションを取れるため、親近感を抱いてもらいやすく、購入や来店予約といったコンバージョンにつながる可能性もあります。
また、一般的に人は広告感の強いものを避ける傾向があります。LINEであれば、ユーザーとの距離が近く、クローズドな環境でのやり取りとなるため、広告感が出にくいのも大きなメリットです。
チャットボットをLINEで使うメリット4|ユーザーを能動的にする
LINEでチャットボットを使うメリットとして、ユーザーを能動的にすることが挙げられます。
問い合わせ対応にかかるコストを削減できるという点は、チャットボットの大きなメリットです。しかし、そのメリットを生かすためには、ユーザーからの能動的なアクションが必要です。
問い合わせフォームや電話は、問い合わせという点においては少々ハードルが高くなります。
使い慣れたLINEであれば、問い合わせに対するハードルが下がり、ユーザーもアクションを起こしやすいでしょう。
チャットボットで気軽に返信できるからこそ、サービスや商品に興味を持ったタイミングで、ユーザーは即座にメッセージを送信できます。
ユーザーが能動的に動いてくれることが期待できるようになるのは、チャットボットをLINEで使う大きなメリットです。
チャットボットをLINEで使うメリット5|ユーザーの継続性
チャットボットをLINEで使うメリットとして、継続性の高さがあります。商品を購入したりサービスを申し込んだりしたユーザーに対して、継続的にアプローチできるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
来店後に購入などのコンバージョンに至っていないユーザーに対しても、アプローチを続けていくことができます。
ECサイトやLPでは、うまく集客できても、ユーザーが離脱したらそこで関係性が終わってしまいます。
一方でLINE公式アカウントは、ユーザーからブロックされない限り、継続してユーザーとコミュニケーションを取ることが可能です。
また購入後も継続的にアプローチを続けることで、ユーザーをファン化しやすいといったメリットもあります。
LINEチャットボットを導入した5つの導入事例
それでは、実際にLINEチャットボットを導入した5つの企業の事例を紹介します。導入してどのようなメリットがあったのかも併せて紹介しますので、自社導入の参考にしてみてください。
LINEチャットボットを導入した導入事例1|ユニクロ
ユニクロは、LINEチャットボットでユーザーからの問い合わせ対応を行なっています。
「注文の確認」、「配送」、「返品・交換」という3つのカテゴリが表示されており、ユーザーはそこから項目を絞り込んでいき、チャットボットの自動返信で回答を得る形です。
商品購入後に気になる点をカテゴリとして表示することで、ユーザーがスムーズに問い合わせをしやすくなっています。
ユーザーの行動を促すのと同時に、問い合わせ対応にかかるコストを大幅に軽減できる施策だと言えるでしょう。
LINEとチャットボットの親和性の高さを生かし、問い合わせをしやすい環境を作った事例です。
LINEチャットボットを導入した導入事例2|ライフネット生命
ライフネット生命は、LINEで保険に対する問い合わせができます。空いた時間を利用して手軽に相談しやすいため、ユーザーにとっても利便性が高いと言えるでしょう。
ライフネット生命のチャットボットには、質問に答えることで最適な保険を紹介してくれる保険診断や、月額の保険料がどれくらいになるのかが分かる保険見積もりがあります。
どちらも質問に答えることで最適な回答を導く仕様です。
保険に関しては、気になっていても、検討したり調べたりする時間が取れない人が少なくありません。
LINEチャットボットを導入することで、ライフネット生命は保険に悩む20~30代の若い層にアプローチすることに成功しました。
LINEチャットボットを導入することで、20~30代の若年層という新たなターゲット層にアプローチできた好事例と言えるでしょう。
LINEチャットボットを導入した導入事例3|フロム・エー
フロム・エーは、オリジナルキャラクター「パン田一郎」のLINE公式アカウントを運営しています。メッセージを送ると返答があり、パン田一郎とのトークを楽しめます。
雑談はもちろん、バイトに関する機能が充実しているのもポイントです。
場所と職種を指定するとバイトを紹介してくれたり、時給とバイト時間を報告するとその日の給料を計算したりしてくれます。
フロム・エーではなく、パン田一郎という親しみやすいキャラクターのアカウントにすることで、ユーザーとの距離感をより縮めることに成功した事例です。
バイトのシフトをトーク画面でリマインドしてくれるなど、パン田一郎とのやり取りが日常的になることでファン化しやすい仕組みができています。
LINEチャットボットを導入した導入事例4|ヤマト運輸
ヤマト運輸のLINE公式アカウントは、再配達の手続きが主な用途です。不在票に記載された問い合わせ番号を入力すると、自動で再配達手続きを行えます。
クロネコヤマトメンバーズに向けた荷物の案内もしており、荷物の配達予定がある場合には「お荷物お届けのお知らせ」が届きます。
LINEのトーク画面でそのまま受け取り日時を指定したり配送状況を確認したりすることが可能です。
電話での再配達依頼は少々手間ですが、LINEであれば簡単に設定できるためユーザーがすぐに対応できます。
LINEチャットボットを導入することで、ユーザーが能動的に動けるようになった成功事例だといえるでしょう。
LINEチャットボットで再配達依頼や受け取り日時の設定ができるため、結果的にドライバーの作業負担を軽減することにも成功しています。
LINEチャットボットを導入した導入事例5|ドミノピザ
ドミノピザのLINE公式アカウントではトーク画面でピザを注文できます。「ピザを注文」と入力してトーク画面でピザを選択すれば、そのまま配達場所の指定や決済までをLINE上で行えます。
LINEで位置情報を送信することで配達場所を指定でき、注文の詳細や支払方法も応答メッセージで設定するため操作は簡単です。
初回利用時は会員登録やお客様情報とのコネクトが必要ですが、設定が完了すればワンタップで注文画面に進むことが可能です。
簡単な操作で注文できるため、よりユーザーが利用しやすく、リピート率の高くなる事例と言えるでしょう。
LINEチャットボット導入のご検討を是非
LINEチャットボットは、24時間ユーザーのメッセージに対応できる以外にも様々なメリットがあります。問い合わせ対応の業務効率をアップできるのも、メリットのひとつです。
そして、チャットボットとLINEの親和性の高さを生かせば、ユーザーが自分からアクションを起こしてくれることを期待できます。
ユーザーとの距離を縮め、コンバージョンしやすい環境を目指すなら、LINEチャットボットの導入をご検討ください。